6月は憂鬱
ぼくは毎日が祝日でも一向に構わないのですが、なぜか6月には祝日がありません。
思い出すとゴールデンウイークは遥か昔のことのよう。
あまりの儚さはまさに、ただ春の夜の夢のごとしであります。
移りゆく季節に身を任せながらも、ただただ悲しみに明け暮れる今日という日に、いったいどうして希望を持つことができるでしょうか。
そうなるともう味玉を作る他ありません。
人は悲しみに耐えきれず味玉を作る。
これはこの世の理であります。
そして作った味玉の中には、その人の歴史が凝縮されているのです。
ぼくは味玉を作りはじめた
正確には昨晩から作り始めました。
味玉とはラーメンなどによく入っている味付き卵の総称です。
半熟に茹でた卵にたっぷりと旨味を染み込ませるシンプルながらも奥深い一品。
ちなみにここ最近ぼくが食べた理想の味玉は池袋の麺屋武蔵二天の味玉です。
(豚天ラーメンは絶品)
こうして見ると他の主張(主に豚天)が強すぎて上手く伝わりませんがとても美味しいです。
レシピはないのでこの味を再現することはできないけど、なんとなくこの辺を目指すことにしました。
味玉作りは人生
味玉作りと人生はよく似ています。
上手くいかないことも、辛く寂しいことも、味玉を作っていればすべからく体験するでしょう。
時にはつまみ食いをしたくなるかもしれない。
時には早く味を染み込ませようと躍起になるかもしれない。
でも結局最後まで諦めずに漬け込んだ味玉こそ、本当に美味しい味玉になるのです。
実はここだけの話、ぼくはワンピースの正体を味玉だと睨んでいます。
よく巷では正体は「仲間」だとか「タイムマシーン」だとかまことしやかに囁かれていますが、あれは全てフェイクです。
どう考えても味玉で間違いありません。
と言うのも、ルフィ達の冒険の足跡にはいくつもの味玉の伏線が見え隠れしています。
(ここで一つ一つ的確に根拠を述べていってもいいのですが、それだけで一つの記事になってしまいますし、ぼくがワンピースを全く読んでいないことがバレてしまうのでやめておきましょう。)
ついネタバレをしてしまいました。
心よりお詫び申し上げます。
ただ、ぼくはひとつなぎの大秘宝が味玉であると暴露したかったわけではありません。
ここで言いたかったのは、味玉にはそれだけの価値があるということです。
ぼくはそれだけを信じて卵を茹で、冷水で冷やした後ジップロックの中のタレ(醤油・みりん・酒を黄金比率で調合したもの)に漬け込み、じっと眺めています。
こうしているとたまに聞こえてくるのです。味玉の声が。
ぼくたちはその声に耳を傾け、時には身を任せて、失ってしまった何かを取り戻します。
見上げると目の前には真っ青な空。
本当に大切なことは、気づかないだけでいつもそばにあるのです。
それはどうでもいいから早く食べたい。